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草津町議リコールに思うこと

  • shiorifukuhara
  • 2020年12月10日
  • 読了時間: 4分

更新日:2020年12月13日


最近話題のニュースについてちょっと取り上げてみることにする。


草津町の女性町議が町長から性的暴行を受けたと自らの著書で告発したところ、議会主導でリコールのための住民投票が行われて、最終的に賛成多数で失職に追い込まれたという話。


率直に言って、こんなひどい話はないな、と思う。


いわゆる「理性的な」「感情論に依らない」人たちから議会サイドを擁護する理屈がネット上に渦巻いているけど、結局、男性目線の女性憎しなんだなと。男性主導の社会を温存したい。だから、それに抵抗する声が上がるとすぐにつぶしにかかるんだなと。


まずは司法判断を待つべきとか、議会主導でリコールできる法律はどうなのかとか、公平であるべき行政の職権乱用(リコールを訴えるポスターが行政関連の施設にも貼ってたらしい)が問題だとか、いろんな論点があるけど、それは結局、問題の本質じゃない。制度設計やら職務倫理やら議員の資質やらは問題の周囲にあるもので、その核心じゃない。


核心は女性の軽視。女性の声を、あるいは人格を、意図的に軽視するということ。


難しいのは、加担しているほとんどの人は、自分がそれに加担していることに無自覚で、たいてい認めないということ。先に「意図的に」と書いたのは、「無意識の上で」「意図的に」行われていると思うから。あるいは、個人としては意図していないとしても、集団としては意図している。社会を俯瞰で見れば分かる。政治の世界でも、ビジネスの世界でも、意思決定をしているのは誰なのか。現場を支える職員のほとんどが女性でも、役職者やトップが男性という例の多いこと。この議会だって、この女性議員以外、全員が男性。「社会は変わった」「男女平等になった」なんて詭弁も良いところ。実態は男性が男性同士で協議してほとんどの意思決定をする社会。女性はそれに従うばかり。運よく女性が意思決定の中に入れたとしても、一人ではほとんど戦えない。男9:女1で、そのほかのたくさんの女性の声を代弁するなんてほとんど無理。だって、1人で9人の男性の中に入って、自分の意見を聞いてもらおうと思ったら、少なくとも10分の9は譲らなきゃ。議論のほとんどを同調しなければ、孤立して自分の意見が一つも通らなくなる。つまり、女性の代表が一人入っても、9割譲ることで合意を得られる主張しか通らない。だから、世の中は圧倒的に男性に有利にできてるということ。


つまり、男性社会の秩序を守りたい集団心理によって、意図的に女性の声が軽視されてる。これは今回だけじゃない。有力者や有名人へのセクハラや性的暴行の事件が公になると、ほとんど毎回、被害を訴える女性の人格や素行に対する疑問や批判が湧いてくる。その周辺には、理性的な第3者を装って、「感情論に流されず」とかの枕詞を使いながら、制度設計の不備だとか、古い企業文化や地域の慣習の問題だとか、論点をずらす連中がいる。この連中は特に意図的だ。問題の焦点がずれるほど、その他大勢の大衆は混乱する。それが法律や社会文化の専門的領域に入れば、多くは次第についていけなくなる。その結果が無関心であり、現在の社会秩序を温存させる。


今回の件、本当に性的暴行があったかどうか。そりゃ、当事者以外に誰も真実は分からない。だけど、考えて欲しい。「学校でいじめがあった」と訴える人に対して、周りが「それは本当にいじめだったのか?」「証拠は?」と問うことをどう思うか。ケガや病気ならもっと分かりやすいかもしれない。「病気で休みたい」という人に対して、まずかける言葉は、「大丈夫?」とか「ゆっくり休んでね」ではないか。職場なら診断書の提出が必要かもしれない。でもそれは後の手続きのことで、その連絡を受けた者はまず相手の言葉を真っすぐ受け止めるはずだ。相手への信頼を示すのが、円滑な人間関係の基盤だ。病気を訴える人に対して「仮病じゃないのか」と言っても良好な関係を保てるとは到底思えない(それを言えるとしたら、その時点で問題を抱えた関係性がうかがえる)。


問題を訴える人の存在を知ったときに、部外者(当該問題の当事者でないという意味)にできることは、まずはその思いへの共感であり、そして問題を明らかにしたことへの敬意を持つことであり、さらにできれば、自分自身が構成するこの社会でその問題が生じた背景に思いをはせることではないか。


今回の女性町議リコール問題が私たちに突き付けたのは、まず第一に女性を軽視する社会の実態そのもの。さらには、社会問題に対峙したときの人の態度・姿勢の在り様にも疑問を投げかけているようだ。






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